The Empty Quarter
"I want to burn the barn out."It's sublimated into the "Where are the sheep" project
The project is created by Henry Nelson
まず初めに、我々が創り出すオブジェクトに関する一冊の本があるとする。この本は焼け焦げていて、断片を拾い集め一つに綴じて本としてのカタチを保っている。書き始めの”Where are the sheep(羊の所在)”がタイトル代わりに添えられているがおそらく原本の表紙は焼失しており元のタイトルは不明である。また”羊の所在”が一ページ目なのかも同様に不明である。そこには人や物や自然とそれぞれの関係性又は非関連性などが書かれている。 それを元に私たちはモノをつくり、共有していく。また、これからつくられるであろうオブジェクトについての隠喩も書かれていて、それぞれが物語の中で分断、独立している。 しかし、間テクスト性を通して互いが解釈、流用、脚色され合っている。 ここでは大きなテーマとして”我々の実態と有機性”に焦点をあて内向性と外向性を極限にまでたかめ、物事の本質を懐疑的に見つめ直す取り組みを目指している。その中でギリシャ哲学のTo hen(一者)をレファランスとして物語をラディカルで普遍性のある物にしながらも、彫刻家でもある作者の個人的な体験や哲学を盛り込む事で、物語を独創的にする手助けをしている。
「人間の存在における身体の役割は境界をつくること。身体とは有限でいて、無限にものを内包できる。 この境界は独立的、自立的に存在していて、自他のどちらかに観測されているものを実体とする。つまり人間の身体とは人間存在自体の実体である。実体は固定され変化しない"本質"を持たない。しかしこの境界は絶えず変化し続け内面生と外面性が結合された時、人となる。 自他の関係の中で人は相対性があり相克的で、有機的な働きをする。」Nell Shiina
オブジェクトのカテゴリーを総括する物語の一文として”我々は原子を超えて元は一つモノであり、今、私たちが観測する全てはそれから流出し無限数に増えたモノだ。人生とは生死を問わず 一つのモノへと回帰する旅である。その旅路の中で私たちは訪れ、出会い、拾い上げる。” この一文の中にもやはりアレゴリーが存在しており、回帰の旅路とその時間、旅路の中で拾い上げたモノ、旅で訪れた場所や空間をそれぞれオブジェクトについての隠喩として解釈している。またこの本の文章の傾向で、自己言及とページそのものの焼失による物語内での分裂が”信頼できない語り手”を作り出している。また三単語から文章を展開していくトリプティックも多用されている。